中国語学習が目的で、子ども向けに作られた山海経(せんがいきょう)を手に取りました。
山海経とは、中国古代の神話や伝説、奇妙な生き物たちが集う不思議な書物です。
今回紹介するのは、北京理工大学出版の書籍『这才是 孩子爱看的 山海经』
この記事では、この書籍で感じた『山海経』の魅力を初心者向けに紹介します。古代中国の神秘的な世界を、あなたも一緒にのぞいてみませんか?
初めての山海経は中国語の絵本から
山海経との出会いはアニメから。中国文化への興味のきっかけに
山海経という言葉を初めて耳にしたのは、数年前に見たアニメ『少年陰陽師』のワンシーンでした。
その中で、登場人物たちが語る「山海経」という不思議な書物――その響きがどこか印象的で、ずっと心に残っていました。
当時は深く調べることはなかったのですが、中国文化や神話に少しずつ興味を持つようになり、あらためて山海経とは何かを自分なりに探ってみることにしました。
子ども向け山海経 書籍『这才是 孩子爱看的 山海经』
自分の興味に近く、中国語学習も兼ねられる絵本を探していました。
そんなある日、北京理工大学出版の子ども向け書籍『这才是 孩子爱看的 山海经』を見つけて購入しました。

この本では、古典特有の難しい文章や注釈を取り除き、中国の子どもにも理解できる言葉が使われています。
また、カラフルなイラストとやさしい表現で構成されています。
山海経の神獣や伝説の人物、土地の名前などがテンポよく紹介されています。まるでファンタジー図鑑をめくっているような感覚でした。
中国語で書かれているため、読むには多少の語学力が必要ですが、「絵を見て雰囲気を楽しみたい」「神話の世界観に触れたい」という方にはとてもおすすめです。
逆に、「中国語の児童書を読むのは初めて」という方にはやや難しく感じるかもしれません。
それでも私はこの本を通じて、山海経の世界にぐっと引き込まれました。
歴史や成り立ちは載っていない。でも、それがよかった
全6巻構成で、子ども向けに山海経の世界をやさしく網羅
この本は『这才是 孩子爱看的 山海经』は、北京理工大学出版の全6巻シリーズ。
このシリーズには、『山海経』がいつ・誰によって書かれたかといった歴史的背景の説明はほとんどありません。
しかしその分、登場する神獣や人物、土地の名前が数ページずつ丁寧に紹介されています。
知識として「読む」よりも、世界観を「感じる」ように楽しめる構成になっています。
そして初めてこのシリーズに触れたときの印象は、とにかく「壮大」。
その理由は、以下のような巻ごとのテーマにも表れています。
6つのテーマで描かれる、子ども向けに描かれる山海経の世界
このシリーズでは、1冊ごとに異なるテーマが設定されています。
それぞれの巻では山海経に描かれた世界をさまざまな角度から楽しめる構成になっています。
- 英雄帝王:古代神話に登場する英雄や帝王たちの活躍と伝説
- 異域遠国:異国の地や、想像上の遠い国に住む人々や文化
- 神人異獣:神のような存在、人ならざる異形の存在たち
- 瑞獣妖物:吉祥をもたらす霊獣や、不可思議な妖怪たち
- 飛鳥游魚:空を舞う鳥、水を泳ぐ魚たちが持つ神秘的な意味
- 奇枝怪叶:見たこともない奇妙な枝や不思議な葉など、植物の世界

6つのテーマ
そしてイラストはどれも色鮮やかで、まさに「ビジュアルで楽しむ山海経」といった感じ。
子ども向けに作られているからか、まるでRPGのモンスター図鑑をめくっているような高揚感が味わえます。
子ども向けなのに、大人も引き込まれる魅力
もしかすると山海経と聞くと、「難解で取っつきにくい古典」というイメージを抱く方も多いと思います。
ですがこのシリーズは、子ども向けだからこその工夫が随所にあり、大人が読んでも引き込まれる魅力があります。
- 一文一文が短く、テンポよく読める
- 難しい語彙や注釈がなく、理解しやすい
- イラストでイメージがふくらみやすく、創作のヒントにもなる
ただし、文章はすべて中国語です。「中国語の児童書に慣れていない」という方には少し難易度が高く感じるかもしれません。
とはいえ、辞書を引きながらでも十分楽しめる構成です。
わかりやすい単語で中国語学習にも最適
子ども向けだから簡単な言葉で山海経を知れる
このシリーズは子ども向けに編集されているため、使用されている中国語も非常にやさしく、だいたいHSK初級〜中級レベルの語彙で構成されていように感じます。
また、同じ単語や表現が何度も繰り返し出てくるため、読んでいるうちに自然と語彙が定着していく感覚がありました。
毎晩寝る前に1話だけ読む、という習慣にするだけでも、神話の世界を楽しみながら語学力が伸ばせるのは大きな魅力です。

拼音と声調つき
さらにうれしいのは、拼音(ピンイン)と声調(四声)もすべて表記されていること。
そのため、音読しながらリズムよく読み進めることができ、中国語の発音練習にもなります。
シャーペンなどで書き込みしやすい紙質なので学習用にもちょうどよかったです。
まとめ:子ども向け山海経でも深く感じられる世界
山海経は単なる古典ではなく、今なお創作や思想の源泉として魅力あふれる書物です。
今回紹介した『这才是 孩子爱看的 山海经』は、中国語ではあるものの、イラストを通して感覚的に楽しめる内容でした。
「神話の世界に入りたい」「中国古典に興味がある」という方にはぴったりの導入書です。
また、使われている言葉は比較的やさしく、拼音と声調もすべて付いているため、音読しながら楽しく学べる点で中国語学習者にもおすすめです。
同じ単語が何度も登場する構成なので、語彙の定着にもつながります。
子ども向け山海経を使い込んで中国語力を磨きたいと思っています。