せっかく頑張って書いた記事だけど、もしかしてこれ、引用は「著作権」的にまずいかも…?
そんなふとした不安から、私はある中国語学習記事を自分の判断で削除しました。
その記事は、子供向けの現代語訳『山海経』を題材に、文章を引用しながら語彙や文法を解説した内容。
学習目的だったし、一部分だけの引用だし…と、当初は「大丈夫だろう」と思っていたのです。
でも、ブログを続けていくうちに「これはもしかするとアウトかもしれない」と不安になり、思い切って削除を決断。
よってこの経験は、「著作権」や「引用」について深く学ぶきっかけとなりました。
今回はそんな私自身の失敗談をもとに、初心者ブロガーがつまずきやすい著作権の落とし穴と、安心して発信を続けるための知識をまとめていきます。
記事を自ら削除した理由「この引用は著作権侵害…?」
子供向け『山海経』で中国語を楽しく紹介していたが…
私が削除した記事では、中国の古典『山海経』を子ども向けに現代語訳した絵本を使い、その中の一文を引用しながら、中国語学習者に向けて文法や単語の解説をしていたのです。
「学習目的だし」「出典も書いてるし」「古典だし」
当時の私は、そんな気持ちで記事を公開していたんです。
ふと「これって大丈夫?」と気づいた瞬間
ある日、自分で他のブロガーさんの書籍紹介の記事を読んでいて、「あれ?本の中身についてはあまり具体的に書かれていないな」と思ったのがきっかけでした。
なんだかふわっとしてるな…と思いつつ、ふと自分の記事を思い返してみると、私は逆に、文章をそのまま載せていたことに気づき、だんだん不安に。
そこで改めて調べてみると
- 書籍の内容を詳しく紹介すること自体が、著作権上グレーな行為になることもある
- イラストや現代語訳などは、原典とは別に著作権が発生している
- 「引用」として認められるには、厳密なルールがある
といったことを知り、「これはさすがにマズいかもしれない」と判断。
よって、その場で記事を非公開にし、自主的に削除しました。
著作権と引用の正しいルールを学びなおした
「引用」って何でも使っていいわけじゃない
「引用」という言葉は、なんとなく「少しなら使っていい」と思われがちです。
私も以前はそうでした。
でも実際には、引用には明確なルールがあります。
文化庁のガイドラインなどを確認してみると、引用として認められるには以下の条件をすべて満たす必要があるとのこと。
条件 | 内容 |
---|---|
主従関係 | 自分の文章が“主”であり、引用部分は“従”でなければならない |
必然性 | なぜその引用が必要なのか、明確な理由がある |
明確な区別 | カギカッコなどで引用部分を明確に区別している |
出典の明記 | 書名・著者・出版社など、出典を明記している |
改変しない | 原文を勝手に変えない(翻訳も基本的にはNG) |
この「全部を満たすこと」が前提なのです。
たとえば、ただ「気になる一節を紹介したいから」「わかりやすく伝えるために」だけでは足りません。
引用部分が本文より多かったり、主旨を支える内容になってしまっていたりすると、それはもう「転載」や「複製」に当たる可能性があると知りました。
「翻訳」や「イラスト」も、実は別の著作物
また私が特に驚いたのが、「現代語訳や翻訳」にも著作権があるという点でした。
山海経の原文自体は古典なのでパブリックドメイン(著作権が消滅)ですが、
それを誰かが現代中国語に訳したものには、その人の創作的表現が含まれているため、著作権が新たに発生しているのです。
同様に、イラストにも当然「著作権」があります。
そのため掲載には著者・出版社の許諾が必要です。
ぼかしたりトリミングしたりしても、著作物性が残っていれば加工による侵害と見なされる可能性があると知り、背筋が伸びました。
この経験を通して、「著作権」とはクリエイターを守る大事なルールであること、
そして自分が発信する側になる以上、使うときには慎重になる責任があると実感しました。
私が得た教訓3つ

著作権についてきちんと調べ、自分の記事を削除したことで、私は以下の3つの大切な教訓を得ました。
だからこそ、これからブログを始める方や、学習記事を書こうとしている方にも、ぜひ共有したいことです。
教訓①:学習目的でも「公開する」なら著作権の対象になる
「これは勉強のためだし」「人の役に立つ内容だし」「もとは古典だし」
そんなふうに思っていた自分がいました。
けれど、“学習目的”と“著作権の自由”はイコールではないということを知りました。
特に「自分だけが使う」のでなく「ブログで公開する」のであれば、それは公衆への発信=著作権の対象になります。
意図に関係なく、相手の著作物を使うならルールを守る必要がある、という基本的な前提を理解できました。
教訓②:「誰かのために書く」ならこそ、誰かの権利を大切に
「この本、すごくいいよ!」「中国語の勉強におすすめだよ!」と伝えたかったのですが。
でも、その熱意が著作物をそのまま使って伝えることにつながってしまっていた。
結果的に、書いた人や描いた人の努力に、ちゃんと敬意を払えていなかったのではと反省しました。
自分がもし、何かを創作したときに、無断で使われていたら――
そう考えると、相手がどんな気持ちになるかも想像できるようになりました。
教訓③:原典やフリー素材を工夫して使えば、創造の余地は広がる
記事を削除したあと、「もうこのテーマで書くのは難しいかな」と一瞬思いました。
でも、著作権に配慮しながらでも書ける方法はたくさんあることにも気づけたんです。
- 山海経の原文(漢文)はパブリックドメインなので自由に使える
- そこに自分なりの語彙解説や、文法のポイントを加えていけば、唯一無二の学習記事になる
- イラストも、自作・AI生成・商用OKのフリー素材などを活用すればOK
むしろ、「限られた条件の中で、自分の言葉でどう表現するか?」を考えることが、表現の自由をより深く楽しむきっかけになりました。
今後のスタイル|安心して紹介できる中国文化ブログへ
この経験を経て、私は「著作権を尊重しながら、安心して発信できる中国文化ブログのスタイル」を見直すことにしました。
単にルールを守るだけでなく、より伝わる表現やオリジナルな発信方法を探るきっかけにもなっています。
① 著作権のある作品は「紹介」よりも「体験・感想・学び」を重視
今後、書籍や映像作品、神話や歴史的資料などを扱う際には、
作品そのものを詳しく紹介するのではなく、「自分がどう感じたか」「何を学んだか」に焦点を当てる方針にします。
たとえば:
- 書籍の中身は具体的に紹介せず、「読んで感じた面白さ」「こんな視点で読んでみた」などを中心に書く
- 引用する場合は最小限にして、ルールを守る(主従関係・出典明記など)
- 紹介に使う画像は、出版社公式の書影またはリンクだけにとどめる
このように、「誰かの作品」ではなく「自分の気づきや視点」を主役にすることで、自然とオリジナリティも高まりました。
② 図解やイラストは自作・AI・フリー素材を組み合わせて活用
イラストや図は、視覚的にも理解を助ける大切な要素ですが、今後は以下のように対応します:
- 自分で描いたイラストや図解
- AI生成ツールを使って独自のビジュアルを制作
- 商用利用OKのフリー素材
必要があれば、「山海経」や「古代中国の世界観」に合ったアイキャッチ画像も、自分で構成・依頼・生成して用意しています。
こうすることで、安心してビジュアルを活かせるようになりました。
③ 中国文化そのものは“公共財産”として、自分の解釈で紹介
例えば山海経や論語のような古典、民間伝承、伝統文化の多くはパブリックドメインにあたります。
こうした内容は、自分なりに再構成し、自分の視点・文体・表現で紹介することで問題なく発信できます。
- 原文や逸話をベースに、自分の言葉で要約・解説
- 学んだことを生活や思想にどう活かせるかを考察
- 比較文化的に「日本との違い」を紹介する記事に展開
これからも、中国文化の奥深さや面白さを、「自分だからこそ語れる切り口」で伝えていきたいと思っています。
まとめ|誰かの作品を使うときの覚悟と敬意を忘れずに
今回、私はブログ記事を自主的に削除するという苦い経験を通して、「著作権」の大切さを身をもって学びました。
悪気はなかった。むしろ「良い本だからこそ紹介したい」という純粋な気持ちでした。
でも、それでもなお、著作権に触れてしまう可能性があったのです。
だからこそ、今はこう思います。
「発信する自由」は、他人の作品への敬意の上に成り立っている
文化を紹介することは、誰かの創作物と出会うことでもあります。
その作品にリスペクトを持ちながら、自分の視点で言葉を紡ぐ。
引用や画像の使い方にもきちんと気を配る。
そうすることで、読者にも安心して届けられるブログになっていくと信じています。
これからも、中国文化の魅力を伝えながら、創作と学びを両立できるブログを目指していきたいと思います。
信頼できる著作権・引用の参考サイト一覧
文化庁|著作権について(公式)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/
- 日本の著作権法の基本がまとまっており、改正情報も反映されています。
- 初心者向けQ&Aや引用の解説もあり
- 著作権に関する講習会も開催
CRIC公益社団法人著作権情報センター「著作権」
- https://www.cric.or.jp/index.html
- 分野別で関係団体を確認できる
- 「はじめての著作権講座」でわかりやすく学べる