今回ご紹介するのは「長臂国(ちょうひこく)」という種族です。
山海経での長臂国は、信じられないほど腕が長く、その長い腕を使って暮らしていると記録されています。
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いったい彼らはどんな場所に住み、どんな生活をしていたのでしょうか?
その原文を読みながら、長臂国がどんな暮らしをしていたのかをまとめていきます。
原典に見る長臂国の姿
原文(『山海経・海外南経』より)
长臂国在其东,捕鱼水中,两手各操一鱼。
山海経・海外南経
意味(やさしい日本語訳):
長臂国はその東にあり、水の中で魚をとっていて、両手にそれぞれ一匹ずつ魚を操っている
この短い記述から、長臂国の人々が腕の長さを活かして漁をしていたことがうかがえます。
長臂国は長腕国とも言う
長臂国の名は「長い臂(腕)の国」と書き、“腕の長い種族”として描かれています。
書籍によっては長臂国ではなく長腕国とするものもあるようです。
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長臂国=長腕国
中国では言い換えで表現することも多いらしいですよ
長臂国の特徴
特徴 | 内容 |
---|---|
名前 | 長臂国(ちょうひこく/cháng bì guó) |
姿 | 腕が長い |
特技 | 魚を捕る |
位置 | 周饒国の東 |
中国神話における「異形の民」としての長臂国
![晉郭璞傳 ほか『山海經18卷』[3],明刊. 国立国会図書館デジタルコレクション https://dl.ndl.go.jp/pid/2555515 (参照 2025-05-06)](https://tesusabi.com/wp-content/uploads/2025/05/digidepo_2555515_0006-1024x861.jpg)
https://dl.ndl.go.jp/pid/2555515 (参照 2025-05-06)
上の図の左下に描かれているのが長臂国の種族です。
半裸姿で両手に魚を掴んでいます。
山海経には長臂国以外にも、羽を持つ人、顔が三つある人、動物の頭を持つ人など、常識では考えられない“異形の民”が多く登場します。
まずは長臂国のその特徴について、まとめたいと思います。
長臂国はどこにあるの?
周饒国の東側
山海経によると、長臂国は周饒国の東に位置する国とされています。
長臂国の身体的特徴
長臂国の住人たちは、見た目は普通の人間に近いですが、「非常に腕が長い」ことで知られています。
書籍や解説によっては、彼らの腕には関節がほとんどなく、ぶら下げたり巻き付けたりしていたとされることもあり、非常にユニークな存在です。
魚をとる民としての知恵
彼らは長い腕を使い、水中に体を入れずに魚を捕まえることができたようです。
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私も小魚の泳ぐ小川で魚を捕まえてみようとしたことがあるけど、近づくとすぐに逃げられてしまう…。
現代で考えれば、長い腕をモリや長い漁具みたいに使ってたのかな。
もしかすると腕が長いと魚から身体を遠ざけられるので、警戒もされにくいのかもしれません。
また腕が長いと水に入らず陸からでも腕を伸ばして魚を捕まえることができるので、寒冷な地域や体温保持の面でも利点がありそうです。
遠くの物を掴むことができるなら、もしかすると視力もいい方だったかもしれませんね。
暮らしと性格の特徴
腕が長すぎて食事が困難
一部の記述(※参考文献に記載)では、腕が長すぎて食事が不便であり、互いに食べさせ合っていたとも伝えられています。

確かに、この図からしても大変そうなのが想像できますね。
協力的な性格
また、一部の記述では同じく山海経に登場する脚の長い種族「長股国」との協力関係も描かれており、身体的な特徴を補い合いながら暮らしていた姿が想像されます。
このような描写からは、「異なる身体を持つ者同士が共存し、支え合う」という社会観が読み取れるような気がしますね。
まとめ|長臂国は理想郷のような存在

長臂国には自然との共存と仲間と協力し合いながら生きるその姿を神話的に表現したものとも言えるかもしれません。
山海経を読むことで、こうした異形の民たちの暮らしを知れるのはおもしろいですね。
そして私たち人間とさほど変わらないようにも思えます。
しかし山海経からは「常識」の枠を超えた発想や、人間社会のあり方への新しい視点を得ることがでるかもしれません。
今後も山海経に登場する不思議な怪物や風土について学んで紹介していきたいと思います。
参考文献・出典
※当記事の内容は以下の資料を参考に構成しています。現代語訳や解釈には筆者の意訳・注釈を含みます。
- 『山海経 東山経』(晋・郭璞注)18巻本 明刊版
※国立国会図書館デジタルコレクションより参照 - 王圻『三才図会』より長臂国・長股国に関する記述
- 『这才是 孩子爱看的 山海经』北京理工大学出版(一部参考、翻訳掲載なし)
- Wikipedia「山海経」
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