高馬三良先生の 訳『山海経』を読みました。
中国最古の地理書にして、神話・怪物・異世界が詰まった幻想の書『山海経(せんがいきょう)』
名前は知っていても、原文で読むにはハードルが高く、なかなか手が出せない。
そんな印象を持っている人も多いのではないでしょうか。
私は中国語現代文から山海経の世界に触れました。
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でも中国語初心者だから、まず知識の予習ができないかと思ってこの本を読み出しました!
今回は、実際にこの本を読んでみた感想と、「どんな人におすすめか」「読みやすさ」「山海経ならではの魅力」について書いてみたいと思います。
高馬三良『山海経』とは?
『山海経』は中国の神話や地理、風土、怪物なんかが登場する古代の書物で、
ざっくりいうと「中国版・神話図鑑」みたいなもの。
でもそのまま読むにはハードルが高くて、原文だけだと「えっ…何これ?」ってなることもあります。
この本は、そういう『山海経』を、
高馬三良先生という中国文学の研究者の方が日本語に訳して、解説もついている一冊です。
高馬三良訳の特徴や構成
原文→現代語訳→解説、という順番で構成されていて、
「訳」なので古典っぽい雰囲気が強めです。
小さな挿絵もあります。
挿絵は世界観を表現するようなものではなく、怪物や種族なんかを切り抜いたようなものです。
読んでみて感じたこと

神話好き、空想好きにはめちゃくちゃ楽しい
とにかく、出てくるキャラ(というか神獣や異形の人々)が自由すぎる!
「首が三つある」「鳥の体に人の顔」「空を飛ぶ魚」などなど、想像を軽く飛び越えてくる存在ばかりで、読んでいてワクワクします。
「こんな世界を、紀元前に描いてた人たちがいたんだなぁ…」と思うと、それだけでちょっと感動します。
でも意味不明な要素もたくさんあります。
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なぜか内容は違うけど同じ名前で紹介される怪物もいて、とっても不思議
空想と現実、信仰と地理がごちゃ混ぜになってるところも『山海経』の魅力のひとつだと思います。
翻訳が堅すぎず、でもちゃんと古典らしい
訳文は、現代語訳といってもライトノベルみたいに崩れたものではなく、
「少し硬めだけど読みやすい」絶妙なバランスです。
ただ、慣れない言葉や身近にない物がたくさん出てきます。
私の場合は検索必須でした。
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それと地理書でもあるからか、今どの辺りの説明だっけ?って迷子になることも
でも変にくだけすぎていないので、神話の持つ神聖さや不思議さもちゃんと残っているのがよかったです。
高馬三良『山海経』はこんな人におすすめ!
- 中国神話や古代の世界観に興味がある人
- 『山海経』という言葉を聞いて気になっていたけど、何から読んでいいかわからない人
- 神話や怪物・幻想世界が好きな人
- 「古典」にチャレンジしてみたいという人
気軽に読める構成ではありますが、内容そのものには難しい言葉や漢字も多めです。
「読み応えがあるけど手が出せないほどではない」そんなちょうどいいバランスの本なので、
“エンタメと学びの中間”を探してる人にぴったりだと思います。
私が感じた高馬三良『山海経』の魅力
個人的には、「理屈ではない世界」にふれられるところが好きでした。
『山海経』では、今の私たちの常識ではありえないようなことが、真剣に語られています。
意味があるのかないのか、これは何なんだろう。
でもそれが「信じるってこういうことかも」と思わせてくれるというか。
あと、「人間とは違う存在」への発想が自由です。
怪物とか神獣が不気味で、なぜか魅かれる。この感覚、クセになります。
まとめ|読むと“神話の世界に旅したくなる”本
高馬三良先生の『山海経―中国古代の神話世界』は、
「神話ってよくわからないけどおもしろそう」くらいの気持ちからでも入っていける一冊でした。
この本は怪物の物語のようなものではありません。
淡々と特徴や所在などについて書かれています。
だからこそ、私たちが自由に想像を膨らせることのができる良さがあると感じました。
そして最終的には「神話ってよくわからないけどおもしろい」そんな読書体験でした。