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易経の基本的な考え方と歴史:変化の知恵を読む

易経の基本的な考え方と歴史:変化の知恵を読む 古代中国
易経の基本的な考え方と歴史:変化の知恵を読む

運命とは、変わらぬものではなく、変わりゆくもの。
古代中国の賢人たちは、その変化を読み解く書として「易経(えききょう)」を残しました。

この書には、嵐のような人生の中でどう立ち止まり、どう動くかそんなヒントが込められています。

hikari
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一緒にこの叡智の書を旅してみましょう!

はじめに:易経とは何か?

易経は“占い”ではなく、東洋哲学の原点

『易経』とは、古代中国に生まれた最も古い書物です。

そして、東洋思想の原点ともいわれ、単なる占いの道具ではありません。

易経が伝える「すべては変化する」という自然観

易経は英語で The Book of Changes とも言われ、その根本に流れる思想は、「すべては変化し続ける」という自然観です。

その変化を読み取り、どう調和して生きるかを教える哲学書であり、また実践的な人生の指南書でもあります。
よって帝王学としても学ばれてきました。

無数の読み方が共存する、対話的な書物

易経は中国古典の中では難解な書物といわれ、いまだに読み方が定まっていないといわれています。なぜなら、易経には明確な解釈というものがありません。

hikari
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なんだか、”直感”というものに似ているように感じるね

現代人にとっての易経とは

易経を学ぶとは直感力を養うことにも通ずると思います。そのため、人生における大局や転機をわずかなヒントで見通すことができるようになるというものです。
言い換えると、自分が置かれている立場や状況を、易経の根本にある自然観に置き換え客観視することで解決につながっていきます。

現代に生きる私たちにも、易経がもたらす「変化に調和して生きる知恵」は、大きなヒントを与えてくれるでしょう。


四書五経における易経

儒教における易経の位置づけとは

孔子より前から存在する「五経」のひとつ

儒教の重要な経典群に四書五経があります。

  • 四書(ししょ):「大学」「中庸」「論語」「孟子」
  • 五経(ごきょう):「詩経」「書経」「礼記」「易経」「春秋」

変化を読む力を重視した儒教思想との関係

古代中国春秋時代の思想家・哲学者・教育者で、儒教の始祖とされている人物に孔子がいます。

その孔子の時代より前に存在していたものが五経。そして、孔子の時代以降に生まれたものが四書です。

つまり、易経は五経のひとつであり、儒教において非常に大きな影響を与える重要な位置を占める古典です。

五経におけるそれぞれの役割

感性・歴史・礼儀・道徳…そして「変化」

五経それぞれの役割を簡単に並べると、

  • 「詩経」…詩を通じて感性を養う
  • 「書経」…歴史的記録から政治のあり方を学ぶ
  • 「礼記」…礼儀や社会制度を学ぶ
  • 「春秋」…歴史を通じて善悪を判断する
  • 「易経」…変化の法則を学び、先見性と柔軟な対応力を養う

つまり、易経は「変化に対応する智慧を学ぶ」ための書という位置付けです。

易経は「未来への洞察力」を養う書

儒教では、人はただ礼儀正しく生きるだけでなく、
時代や環境の変化を見極め、柔軟に正しく対応するべきだと考えました。
そのため、「変化の本質を説く易経」は非常に重視されたのです。

易経の歴史的な背景と発展

5000年を超える歴史をもつ書物

易経の基本的な考え方と歴史:変化の知恵を読む
漢書藝文志
漢書藝文志

易経には5000年もの歴史があるといわれます。
『漢書藝文志』という漢代学術の目録書には、このような言葉があります。

易道は深し。人は三聖に更(か)へ、世は三古を歴(ふ)

漢書藝文志

要するに、三聖とは人物のことで、伏羲(ふっき)・周の文王と息子の周公旦・孔子の3組をいいます。

hikari
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1人で完成させたものじゃないんだね!

伏羲から孔子まで、三聖が関わった壮大な系譜

  • 1組目の伏羲は伝説上の三皇五帝の1人であり、八卦(はっか・はっけ)と六十四卦を考案したと伝承されています。
  • 2組目は周の文王とその息子の周公旦です。紀元前1100年頃に文王が六十四卦それぞれの意味を文章にし(卦辞)、周公旦が卦を構成する六本の爻の意味を説明する文章(爻辞)をつくったとされています。
  • 3組目は儒教の祖である孔子です。孔子が易経を整理したと伝えられています。

なぜ「5000年」といわれるのか?

易経に5000年もの歴史があるとされるのは、伏羲が古代中国の神話伝説時代の人物であり、この三皇五帝の時代は紀元前3000年以上前なのだということからなのでしょう。

hikari
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神話伝説なんてワクワクする!

易経のもとになった古代の占術

三つの易:「連山易」「帰蔵易」「周易」

一方で、古代において易経は、占術書に近いものだったかもしれません。
易には「連山易(れんざんえき)」「帰蔵易(きぞうえき)」「周易(しゅうえき)」という三種があったとされます。

「連山易」「帰蔵易」は三皇五帝の時代に誕生したとされていますが、「連山易」「帰蔵易」については現存する具体的な文献は少ないため、現代に伝わる『易経』は「周易」が基礎となっています。

つまり易経は易占から発展したものなのです。

殷代の甲骨文字に残る“卜辞”の記録

紀元前1600年ごろ殷(いん)の時代では、出来事や自然現象を占いで見極めていたようです。
しかし現代で殷王朝が存在していたことが明らかになったのは100年ほど前のことです。

殷墟からおびただしい数の甲骨文字の彫られた亀甲や獣骨などが発見されました。

易経を学ぶ。世界史の窓より引用
『世界史の窓』より引用

その研究によると、甲骨文字で書かれたものの中に「卜辞」がありました。

「卜辞」とは占いの内容を言葉にしたものです。つまり王の行動や政治、自然現象に関する様々な占い結果が甲骨文字で書かれていたのです。

hikari
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古代では、占いは変化に対応するために必要なものだったのかもしれないね

占術書から哲学書へ|易経の進化

「十翼」によって易経は思想書へと昇華された

古代では様々な占術があったのでしょうが、
その中でも伏羲が考案されたという八卦・六十四卦は周の武王や周公旦たちによって体系化され、後に孔子が『易経』に注釈を加えた「十翼(じゅうよく)」によって、
易経は単なる占術書から、倫理・哲学の書へと昇華されました。

hikari
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十翼?このあたりはちょっと難しいね

儒教・道教・軍略にまで及ぶその思想的影響

漢代以降、易経は儒教の正統な経典とされ、知識人・政治家・軍師たちにとって必須の学問となりました。
また、道教の成立にも深く影響を与え、自然と調和して生きる「無為自然(むいしぜん)」の考え方の根底にも、易経の思想が流れています。

つまり易経は、

  • 占いの教本
  • 人生哲学
  • 政治戦略
  • 個人の修養
    という多面的な役割を持ちながら、時代を超えて生き続けた書物なのです。

易経の基本:陰陽とは何か?〜すべては二つの力から生まれる

すべては「陰」と「陽」でできている

陽=動と発展、陰=静と内省の力

易経の基本となるのは、「陰」と「陽」という二つの力の概念です。

  • :光、動、上昇、能動、創造、男性性
  • :影、静、下降、受容、柔軟、女性性

相反するようで補い合う、陰陽のリズム

陽が盛んなときには成長や発展があり、陰が深まるときには休息や内省の時期となります。
易経では、これら二つの力が絶えず交錯し、補い合いながら、すべての現象や出来事が成り立っていると考えます。

大切なのは「陰陽のバランス」

易経において重要なのは、陰と陽のどちらかが「良い」「悪い」ということではありません。
バランスとリズムが大切であり、その流れを感じ取りながら、タイミングよく動き、あるいは静かに留まることが、調和した生き方に繋がるのです。


八卦と六十四卦:変化を象徴するシステム

易経では、「陽(実線)」と「陰(破線)」の2種類の線を使って「爻(こう)」を表現し、それを3本重ねたものが「八卦(はっけ・はっか)」になります。

易経の基本:八卦

八卦は以下の自然現象を象徴しています。

意味
乾(けん)天、創造、剛健
兌(だ)沢、喜び、潤い
離(り)火、明るさ、知恵
震(しん)雷、動き、始まり
巽(そん)風、広がり、柔軟
坎(かん)水、困難、深み
艮(ごん)山、静止、止まる力
坤(こん)地、受容、柔順

つまり、これらの八卦を上下に組み合わせて作られる64の組み合わせが「六十四卦」です。
さらに六十四卦は、人生のあらゆる場面──成功、停滞、挑戦、後退──を象徴し、私たちに今の状況をどのように捉えるべきかを示してくれます。

六十四卦については、それぞれ取り上げたいと考えているので今回は説明しません。


易占いとは?〜未来を当てるのではなく、流れを読む

易経は、未来を「予言する」ものではありません。

易経が行うのは、今ここにある状況を読み解き、変化の兆しを捉え、適切に対応するための道しるべを示すことです。

例えば、ある問いについて卦を立てたとき、
「今は静かに待つべき時なのか、それとも思い切って行動すべき時なのか」というような判断を助けてくれるのが易占いです。

重要なのは、卦の結果に「良い悪い」を単純に結びつけるのではなく、
その変化の本質を理解し、自分の行動を調整するヒントにすることです。

hikari
hikari

易経ってのはやっぱり直感力を磨くための教本なんだと感じるよ


易経に流れる哲学:天人合一と中庸の精神

易経が説く哲学は、「天人合一(てんじんごういつ)」

つまり、人間も自然の一部であり、自然の流れに逆らわず調和して生きるべきだという思想です。

言い換えると無理に突き進むよりも、

  • 流れが来たら進み、
  • 逆風のときは静かに時を待つ

これが自然と共鳴する生き方です。

また、極端に走らず、バランスを取る「中庸(ちゅうよう)」の精神も重要です。
要するに、変化のなかで冷静さと柔軟さを持ち続けることが、易経が示す「君子(くんし)」の生き方なのです。


現代に生かす易経:変化の時代を生きるために

一方で現代は、かつてないスピードで社会が変化しています。
そんな時代にこそ、易経の「変化に応じて柔軟に生きる」という知恵が必要です。

  • キャリアの転機
  • 人間関係の変化
  • ライフスタイルの見直し

どんな場面でも、「今、何が起きようとしているのか」「今、自分はどう在るべきか」を静かに見つめることで、
無理のない、しなやかな選択ができるようになります。

易経は、「こうすれば必ず成功する」とは言いません。
むしろ、「今の自然な流れにどう乗るか」を教えてくれるのです。


まとめ:易経を学び、変化を味方につけるために

『易経』は、難解な書物です。
けれど、その本質はきわめてシンプルなのかもしれません。

すべては常に移り変わる。
だからこそ、今の流れを感じ取り、自分の位置を見極めて生きる。

これこそが、易経が私たちに伝えている大切な知恵なのかもしれません。

私は易経について初学者であるため、誤った解釈もあるかもしれませんが、私自身も易経で直感力を磨いていきたいと思っているので、今後も易経に関して学んだことをブログにしていきたいと考えています。

今後の予定としては「六十四卦」についても調べていくつもりです。

そしてこのブログが、易経や易占に興味のある方の参考になれば幸いです。


この記事を書いた人

中国の世界観への関心が、やがて日々の暮らしや人との縁にまでつながっていった私の体験を、ゆるやかに綴っています。
同じように中国文化や国際結婚に興味をもつ方に、楽しんでいただけたら嬉しいです。

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